「唐津に来ませんか?」
久し振りの良弘氏の声であった。
聞くと窯出しを終えたばかりだという。
朴訥だが自信を秘めた言葉が耳に残った。
ー早々 唐津へ飛ぶ。
陶房には初秋の風が吹き抜けていた。
極上に熟成した窯変花生、ほんのり茜さす斑唐津茶碗の艶、軽妙な筆運びの絵唐津は水墨画のような趣に充ち自由闊達な食器は楽しさに溢れていた。いずれも逸品であり、端整な姿の向うに燻銀の静かな意欲が顔をのぞかせていた唐津焼の伝統を踏襲し乍らも そこには歳月に裏打ちされた
新しい”良弘唐津”が少しずつ姿を現しはじめている。